ちょっと今更な話をします。エキスポランドの事故について。我慢してください。
例えば、僕らが飛行機に乗る場合。僕らは飛行機が墜落することを、そして墜落すればほぼ間違いなく乗客が死ぬことを知っています。滅多にあることではないけれど、それでも飛行機事故は無くならない。「飛行機に乗る」という行為は、常に「墜落して死亡する可能性」を含んでいます。僕らは「自分が飛行機事故に巻き込まれることはない」と思いつつ、またはそんなこと全く考えずに、一方で無意識に「墜落して死ぬこと」を了解して飛行機に乗っていると言えるのではないでしょうか。
それではジェットコースターはどうでしょうか?勿論、ジェットコースターが絶対事故を起こさないとは僕らも考えてはいません。そう言えばTDLで脱輪事故があったよなあ、とか。しかし、死亡事故となるとどうでしょう。僕らはジェットコースター事故で死ぬなんてことを了解していたのでしょうか?勿論、「うわー。これ、安全バーがバンッとかいって外れたら、死ぬなー。」みたいなことは誰でも考えたことがあるはずです。しかし、本当にそんなことがあるとは考えていない。わざわざ僕らがスリルを求めてあんなものに乗るのは、そのスリルが「管理されたスリル」であると信じているからに他ありません。よく考えれば、そんなものは幻想に過ぎないのですが、兎も角、僕らはそんな幻想に包まれてジェットコースターに乗っていたのです。
エキスポランドの事故はその幻想を砕くものでした。これから僕らは「座席から飛び出して死ぬこと」を了解しつつジェットコースターに乗らなければならなくなったのです。そんなことできるのでしょうか?
もうだまされないぞー。これは単なる「安全に対する意識の低さ」とかそういった問題じゃない。ジェットコースター、ひいては遊園地というシステムの崩壊を意味するのだ。お化け屋敷だってそうだ、アレほんとに人間がやってるのか?ホーンテッドマンションのセーフティーバーを倒しているのはほんとは誰だ!?ミッキーマウスとかも!あれ、ホントに人が入ってんのか!?