偶然って大切。偶然ってもんが無ければ、僕は僕という存在の無根拠性に耐えられないよ。
ところで僕は「ネットサーフィン」という言葉が好きだったな。最初にこの言葉を作った人は天才だと思う。波は常に変化する。この波と同じ波は二度と無い。同じターンは二度とメイクできないんだよ。ネットがサーフィンだった頃、僕は二度とできない経験を楽しんでた。そう、ネットの波に乗った僕がどこに辿り着くのかなんて誰にもわからなかった。だから、辿り着いた場所に面白いものを見つけたときの喜びといったら、もう、ね。行きたい場所に必ず辿り着けるネットはウォータースライダーに成り下がる。そんなもの楽しくないよ。
僕が欲しがる最新の情報が直に探せる技術は、便利だけど厄介だ。僕から偶然を奪うから。偶然が無いと僕は死んでしまう。