ところで「ネギだく」って本当に可能?

初音ミクさんについて。今や語り尽くされた感があり過ぎるので、サクッと短めに。
初音さんブームを考えるに当たって、それ以前にアイマスTHE IDOLM@STER)MAD、中でも「アイマス×perfume 」ブームが存在したことが非常に大きな意味を持つ。「アイマス×perfume」は「2次元ヲタ/アイドルヲタ」という層を横断してブームとなった。またブームによって、perfumeの音楽性に注目したサブカル層などヲタ層以外の人の知るところともなった。
ここで踏まえて置きたいのは、この時点で「ロボ声でテクノポップを歌う近未来っぽいバーチャルアイドルをプロデュース」というパターンが多くの人達に認識された、という事実だ。もうお判りだと思うが、この「ロボ声で〜」はそっくりそのまま初音さんブームにも当てはまる。*1そう、初音さんブームは「アイマス×perfume」の延長線上にある。*2発売される前から、僕らは初音さんとどう遊べば良いかを「知っていた」のである。
さて、これは特別なことではなく、「シミュラークルの共有→パターン化→データ還元→再シミュラークル化」というデータベース消費モデルのサイクルをそのままなぞっているものだ。ただ「アイマス〜初音さん」という流れについて、ふたつほど指摘しておこう。
ひとつは「シミュラークル化サイクルの速さ」である。アイマスから初音さんに至るまでのスピードが異様に速い。先に挙げたサイクルの中で、時間が掛かるのは「共有→パターン化」の部分だと思うのだが、ここのスピードアップにニコニコ動画が関係しているのではないか、と僕は考える。これは別に考えたい所だが、簡単に述べておく。
コミュニティの細分化、多様化、という様なことが言われて久しい。「島宇宙化」とも言われたりする。2ちゃんを例に挙げると、「2ちゃんねらー」という言葉で全体性を表すのは最早不可能に近い。板別どころかスレッド別に島宇宙化が進んでいる様に思う。しかし、ニコニコ動画はそれらの島宇宙を再統合する働きをしているのではないだろうか?ある種の「前提」としてニコニコ動画が存在している、ということだ。その為に「アイマス〜初音さん」の流れにおいて「共有→パターン化」サイクルが素早く行われた・・・考えられないことではない。そうだとすれば、今後ニコニコ動画がどうなるか注目する必要がある。特にアクセス時間制限がなくなった時、「前提」としての機能は維持されるのか?それともニコニコ動画内でも島宇宙化が始まるのか?
もうひとつ指摘したいのは「2.5次元という概念」である。初音さんのニコニコでの動画を観ると「3次元オワタ」「これが2.5次元か!」の様なコメントをよく見かける。これはどういうことか。
2.5次元」という概念は以前から存在した。例えばゲームキャラといった「萌えの対象」としての2.5次元的なモノはあっただろう。しかし、そこからシミュラークルを再構成するに当たっては、同人誌の様な2次元かコスプレの様な3次元かの2者択一しか無かったのが今までである。しかし「アイマス〜初音さん」の流れにおいて、シミュラークル再構成の「場」として2.5次元という地平が切り拓かれつつあるのではないだろうか?
今のところ、この2.5次元には「萌えの」という留保が必要だろう。しかし、「セカンドライフ」が受け入れられない日本に於いて、今後その留保が外れる可能性について常に注意しておく必要がある。何故か?「アイマス〜初音さん」が「2次元萌え/アイドル(3次元)萌え」という構図を相対化しつつある様に(少なくとも今現在、両者の差異はグラデーション化しているだろう)、「2.5次元」は全ての「/」で分かたれる構図を相対化して行くだろうからだ。
さて、僕ら"text-psycho"はこの様な状況に於いて、どの様に行動すべきだろうか?今後はこの問題について考えて逝きたい。


単純に凄いと思う。

*1:初音さんはテクノポップ以外も歌っているが、ニコニコ動画の再生数上位を見ればテクノポップに適性があることは明らかだろう。

*2:そう考えることで、「初音ミク3D化計画」という動きが早くからあったのも当然のことだと言える。